コットンパフ

こちこは神経質！？

私が実家住まいをしていた頃の話なので軽く１０年は前の話である。

ある日、母が仕事から帰宅すると「取引先の会社の人からコットンパフをもらった」と、聞き慣れないコットンパフメーカーの大きな段ボールを未開封の状態で持ち帰ってきた。

段ボールの中には未使用のコットンパフが何十箱も大量に詰まっていた。

母は「助かるわよね～。コットンパフは腐るものじゃないし、こちこも使うでしょ」と嬉しそうに段ボールからコットンパフの箱を取り出し「収納庫にしまっておくから、こちこも好きなだけ使って良いよ」と言ってくれた。

私も「コットンパフはスキンケアやメイク、ネイルを落とすのに使えるし重宝するよね。折角だし今使いたいからコットンパフ１箱もらうね」と自分の部屋に持っていった。

箱からコットンパフを１枚取り出してみる･･･

なんと！

コットンパフの白い表面に薄茶色の２ミリくらいの死んだ虫（イメージでいったら大きなダニ？）が、絡まっているではないか。

「ヒィーッ！！！」

私は悲鳴をあげる。

と同時に「お母さん、このコットンパフに死んでる虫が付いていたんだけど衛生面大丈夫？」

すると母は「何年くらい前のコットンパフなのかわからないけど、取引先の会社でも売れ残ったコットンパフを段ボールで大量に保管していたんだろうから虫の死骸の１つくらいあるんじゃない」とあっけらかんと言った。

私は母の能天気な発言に驚きつつ、そのコットンパフを気持ち悪く感じたので箱ごと捨て、もう１つ別のコットンパフの箱を収納庫から取り出した。

何枚かのコットンパフを不信に思いながら使っていると、先程と同じような薄茶色の物体をコットンパフの白い表面に見つける。

「ヒィーッ！！！！！」

やはり同じ虫の死骸だった。

私は慌てふためき、虫の死骸の付いたコットンパフを母の所へ持っていく。

「お母さん見て！新しく開けた箱のコットンパフにも同じ虫の死骸が付いてる！！このコットンパフ気持ち悪いよ。どの箱の中にも虫の死骸が入っているんじゃない！？とにかくもらってきたコットンパフは全部捨てた方が良いよ！！！」と捲し立てた。

母は「本当にこちこは神経質ね。その虫みたいなものが付いているコットンパフだけ捨てて、それ以外のキレイなコットンパフを使えば良いじゃない。そんなに嫌ならもらってきたコットンパフはこちこは使わないで。お母さんは使うんだから勝手に捨てたりしないでよ！」とのんきな事をまた言った。

えっ！？私が神経質なの？？？

虫の死骸が付着しているかもしれないコットンパフ･･･

大量に収納庫にあると思うだけで私は不快なのに、どうやら母は平気なようだ。

母はもらってきたコットンパフを何ヶ月もかけ、全て使い切った。