太ったおばさん

狭い通路

商品が山積みに陳列されていて、人が１人しか通るのが難しいお店でのお話。

私はある商品を購入するか悩み、狭い通路に立ち止まり眺めていた。

すると太ったおばさんが凄い勢いで歩いてきているのが、私の目の端に飛び込んできた。

ぶつかられたくなかった私は、自分の身体を少し前にずらした。

私の常識では、私は身体をずらしたのだからその通路を通りたいおばさんも身体を横にするなり、お互い接触しないように気遣い合うのがマナーだと思っていた。

しかし、おばさんは勢いを緩めずに突進。

目の前にいる私に平然とぶつかってきた。

私ははじかれ、よろめいた。

カチンときた私。

「痛いっ！デブ！！」

思わず声に出してしまった。

するとおばさんはピタッと立ち止まり、クルリと私の方を振り返る。

私の頭の天辺から足の爪先までくまなく見るや否や

「うるさい！この細っ！！」

と怒鳴ってきた。

私は呆気にとられ、同時に”デブの反意語って細なんだ～”と思った。

そしておばさんは言葉を吐き捨てたまま、店内に消えて行った。

言い争いになるかと思いきや、彼女にそんなつもりはなかった模様･･･

それぞれの常識

そもそもお互いが身体をずらさなければ、ぶつかることは誰にでも予測できたはず。

私の常識なら人にぶつからないようにする。

私はぶつかられた瞬間「痛い」と反応した。

ぶつかったのであれば謝るのが当たり前だとも思っていた。

しかし、おばさんにとっては商品を見るのに立ち止まっていた私の方が邪魔だったようだ。

ぞんざいなおばさんの態度には腹が立った。

通りたいのであればぶつかることで他人を威嚇するのではなく、一声掛けるべき！と思った。

そして、ぶつかったのだからきちんと謝ってほしかった･･･