１００円おばさん

駅の券売機

１５年くらい前の話。

当時、交通系ＩＣカードというものが普及し始めていた。

私も存在自体は知っていたのだが、使用はしていなかった。

よって駅の券売機で切符を買っていた。

お釣りをお財布にしまおうとした、その時･･･

おばさんなのかおばあさんなのか見分けがつかない女性が、ゆったりした足取りで私に近づいてきた。

女性の浮浪者？

身なりはヨレヨレ。

すすけたような衣服をまとっている。

白髪混じりの髪は、いつから切っていないのかわからない程かなり長く、床を引きずっていた。

よく見ると髪の毛は全てネットに入れていて、妖怪の一反もめんのよう。

そして女性は私の耳元まで近づき囁く。

「お姉ちゃん。おばちゃん１００円なくて家に帰れないんだよ。悪いんだけど、１００円で良いから貸してくれない？」

彼女の姿かたちに驚く私。

他人からお金を貸してほしいと話掛けられるシチュエーションにも度肝を抜かれてしまう！

私「はぁっ！？」

当時の私は声が凄く大きかった📣

メチャクチャ滑舌の良い渾身の一声をあげてしまう。

引っ込みのつかなくなった私はさらに続ける。

「他人にお金を借りるんじゃないよ。困っているなら、まず交番へ相談しに行きな！」

私の声に気が付いた通行人は「喧嘩でも始まった？」という感じで、何となく立ち止まり遠巻きに様子を伺っているようだった。

女性は、私から注意されると思っていなかったのであろうか？私の啖呵を聞くや否や足早に逃げ去ってしまった。

正体

翌日、私はこの事件の全容を友達に話す。

友達「その人は某駅で有名な１００円おばさんよ。１００円おばさんは若くておとなしそうな女性に狙いを定めては、１００円貸してくれというので有名。ただ１００円おばさんも昨日は運が悪かったねwwこちこをターゲットにして声を掛けちゃったんだwwwそりゃ怒られるわwwww」と大笑いしていた。

某駅で有名な名物おばさんだったらしい💦

私は正論を述べた･･･

だから、多分間違ってはいないはず😅