開業医の閉院

名医の皮膚科

私が小学校5年生から通っている皮膚科がある。

腕が良く目利きと評判で他県から来院する患者も多い✨

親切な診断と丁寧な処置をしてくれることから診察に行くと3時間待ちは当たり前の皮膚科であった。

 

先生の人柄は患者さんの話をじっくりと聞き、落ち着いた雰囲気で優しく病気の説明をしてくれる。

これも人気の理由だったと思う🎵

 

年齢にしては身長がスラリと高く瘦せ型でピンと姿勢がいい。

所作も緩やかで真面目な印象を醸し出している絵にかいたようなお医者さん😊

 

先生は私のことを子供のころから知っている。大人になった私は美容に興味を持つようになり近年に至っても処方箋が出してもらえるビタミン剤や皮膚を保護してくれるクリームを定期的にもらいに行っていた。これらの薬は病院が出せる最大の日数分もらえるので3ヶ月に1度くらいはお顔を拝見していた。

 

時の流れ

時が経ち先生も80歳近くになったのであろうか。

それでもこの病院は混んでいて、先生は精力的に仕事をこなしていた。

 

1年前のある日…

3ヶ月ぶりにビタミン剤をもらいに皮膚科を訪れた。 

この日、私が来院するとまず驚いたのが混んでいるはずの16時に患者が誰一人いない!

病院の受付や看護師たちも私を子供の頃から知っているため、私はみんなと親しい。 

 

不思議な面持ちで診察券を出す。

 

受付の女性

「良かった!病院最後の日に来てくれたのね」

「どうして誰も患者さんいないの?」

受付の女性

「急遽病院を閉院することになって今日が病院最後の日なのよ」

「お願いだから先生にも顔を見せてあげて」

 

いつもの薬をもらいに来ただけだから診察は受ける気なかったんだけど…。と口をはさむや否や看護師も出てきてほぼ強引に診察をさせられた。

 

診察

診察室では先生が座っていた。

先生は私が来院しなかった3ヶ月の間で一気に別人に変わり果てていた

 

姿勢の良かった背筋が90度に曲がり、カルテを持つ手がずーっとプルプル震えている。

目の焦点も合っていない感じがした。

 

「いつももらっているビタミン剤と皮膚の保護クリームを最大日数分ください」

医師

「聞こえない…」

 

何度も聞き返される。

私は通る声なのだが何度告げても「聞こえない」と言われる。

最終的には看護師が先生の耳元で大きな声で怒鳴ったように私の言葉を伝達

やっと聞こえたのか「ビタミン剤と皮膚の保護クリームをいつも通り出しておきます」と言われた。

 

私が返事をすると、また同じことを言う。

 

これを何度も繰り返し、終わると振り出しに戻る💦

 

先生の変わり果てた姿を見てショックを受け悲しい気持ちになった。

 

急に閉院が決まった原因はこれだろうな…患者が一人もいなくなっていた理由を察知した。

 

「もう働かなくて良いんじゃない」と言ってくれる家族がいなかったせいで、ずっと病院を続けていたんじゃないか?と思った。

 

急遽閉院する病院に訪れたのは本当に偶然だった。

何か不思議な力に導かれて病院ラストの日に私は行ったのかもしれない…スピリチュアルを感じた。

 

 

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4件のコメント

衝撃の内容でした。
たった三ヶ月で…
考えさせられるものがありますね。

KO様(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
本当にそうですよね…
子供の頃から見ていた先生の老いを感じ、悲しい気持ちになりました。

こんにちは、こちこさま。
先程はライブでもありがとうございます♪

記事も拝見しましたよ!
開業医の先生の最後はなんとも可愛そうというか、、

先生も人間なので致し方ありませんが、変わり果てた姿に。私も誰しもいつかはそーなりますが、なるべくならば若々しくいたいものでもありましたよ

なんだか、少しだけ悲しいお話でもありましたね
歳をとっても、いつまでも若々しく健康でいたい所存でもありました☆

がちょ様✨
本当に仰る通りです。゚(゚´Д`゚)゚。
確実に人間は老いるのですが…可愛がって下さっていた先生の現在の姿を目の当たりにすると…なんとも言えない気持ちが込み上げてきましたよ。

いつまでも元気に過ごしたい♪
私も同じ気持ちです♡♡♡

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